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日本には、神や妖怪を鎮めるために若い娘たちを生贄として差し出した、いわゆる人身御供が昔行われた、と伝えられる地域が散見されます。


大阪府下の妖怪の足跡を調べていたところ、大阪北部や兵庫県にもいくつかそのような土地がありました。

まず、おそらく最も有名なものが大阪市西淀川区 野里住吉神社。
ここは今でも奇祭「一夜官女」が執り行われています。
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由緒書きでは、「狒狒」とされていますが、大蛇だと伝える話もあります。

さて、大阪市からさほど離れていない(直線距離なら10km程)西宮市 岡太神社にも同様の伝承が残されています。
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話の内容は舞台を岡太神社に移しただけで、瓜二つのものです。
こちらは西宮市のHPにも紹介されており、そちらでごらんになっていただける事ができます。
岡太神社ではその事を「一時上臈」という祭りで表し、現在も執り行われています。

また吹田市 吉志部神社にもあります。
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こちらは、神もしくは妖怪は狒狒ではなく大蛇とされ、退治したものは岩見重太郎から吉志俊成へとかわっていますが、話の大筋は同じものです。
と、阪神地域で現在調べがついたものだけで、少なくとも3箇所に人身御供の伝承がある地域があり、私が調査できていない物もある可能性が在ります。
また、それらの地域に伝わる伝承は、全て話の大筋は同じものであるというのも興味深いものがあります。
実はこのような話は、猿神退治という民話で全国的に散見され、この阪神地域に限ったものではありません。

岩見重太郎伝説もしかり。日本のあちらこちらで極めて類似する話が語り継がれています。

こうなれば、何らかの事件を語り継いでいるというよりも、何らかの事柄を暗喩しているのではないでしょうか?

調査を進めてみると、野里住吉神社の「一夜官女」も「一時上臈」と呼ばれていた時期があるらしいとのこと。
そういった事を考えた場合、これら祭りの「根」には同じものがあるのでしょう。
岡太神社の「一時上臈」の「上臈」とは「女郎」、即ち「遊女」を指す言葉のようです。

赤松啓介等の著書を取り上げるまでも無く日本は、もともとは女系社会でした。
「竹取物語」を見ても、男性が女性の家に「この方を妻として娶りたい」と申し出る場面があることは有名であるが、そのような「妻問婚」も一般的でした。
また、女系社会であるが故、男性の血筋と言うものは重要視されず、尊い稀人の血を受け入れるため、「一夜妻」という風習もあったようです。
「一夜女郎」「一時女郎」、これらは「一夜妻」を指していたのではないでしょうか。
現代に生きる我々からみれば奇妙にうつるそれらの風習も、女系社会と言う視線から見れば、優れた血を取り入れる極めて合理的なものであったのでしょう。
そうした目線から見てみれば、「一夜官女」「一時上臈」と言う祭りの背景には、女系社会から男系社会へ移り変わっていくに従い、無くされていったそのような風習があったのではないでしょうか。

よって、主役として描かれる者は男系社会の象徴たる武士となり、そして男系を主軸としてみた場合、妻を奪う稀人は妖怪「狒狒」として貶める必要があったのではないでしょうか。

赤松啓介がそのフィールドワークの舞台としていたのは、姫路から神戸にかけてが中心であったと聞きます。

少なくとも上記の祭りが執り行われる阪神地域のムラ社会では、女系社会独特の風習があったというのは間違いないことでしょう。
阪神地域に伝えられる、このような祭りの根としてそういった性風俗の変遷があったのではないか、というのは無理があるでしょうか?

もっともこれは、黒猫の想像にすぎません。
今後研究者によって明らかになるかも知れず、事実と異なる可能性も高い事をご理解ください。

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プロフィール

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黒猫
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男性
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自己紹介:
妖怪と酒を愛する一男一女の父。
昨今、文献漁りも行っているが、昔の人の書が達筆すぎて苦心中

 

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