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大阪市内に棲む黒猫が、大阪近辺の妖怪や民話の伝わる土地を訪ね歩いた記録です。 ツイッターで更新のお知らせをできるようにしています。 @youkai_kuroneko
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ほんでそのガタロォちゅうのは、だいたいどこに居てんねん?
さぁそれわたい、一生懸命考えましたがな。
本町の橋の下へ行きました
本町の橋の下?
何かえ、あんなところにガタロが居てんのんか?
わたい小さい時分にあの辺住んでましたんやがな。
親によぉ言われましたで
「これ、日が暮に橋の下へ行くねやないで。ガタロが出るで」言ぅて。
本町はねぇ、ガタロの本場でっせ
-上方落語 商売根問より-
野崎新池には、むかし「とめやん」というタヌキがおったそうや。
ところが、このタヌキ、悪さぶり有名でな。
ちょっとやそっとのいたずらではすまへん。付近の田畑や鶏小屋を毎日のように荒らし回るんや。
そこで、怒った村人たちは、ついに罠を仕掛けて、とめやんを捕まえてしもたんや。
「どうや、とめ公、まいったか。そやけど、どうしてそんな悪さばっかりするねん」
村人がたずねると、
「そうかて、人間はみんな、わいの悪口ばっかり言うて、ちっともほめてくれへん。腹が立つねん」
と、とめやん。
「ほな、どう呼べと言うんや」
「とめ公、とめ公と呼ばんと、たかはた大明神と言うて、たてまつってくれたら、もう悪さはせえへん」
とめやんのそんな言葉に、村人たちは相談してな。石に『正一位 高吉大明神』と彫って、しめ縄を巻いてまつってあげたんやと。
「どうや、これでええか」
「これでええ」
とめやんは、喜んですみかへ帰って行ったそうや。それ以来、とめやんの悪さはピタッと止まってしもたんやと。
野崎・宝塔神社の片隅にある高さ50センチほどの石碑は、そんなとめやんのものなんや。けど、今は訪れる人も少なく、忘れられたようにひっそりと立っている。
とめやん、どんな気持ちやろうなあ。
-ため池こども新聞(大阪)第6号より-