実は昨年年末に島根県出雲市近辺を回っていたのですが、まだ記事に出来ていなかったので、遅ればせながら記事に起こします。
訪問したのは平成23年12月31日。
妻の実家に帰省していた時に暇を見つけて何時ものように一人旅をしてきました。
まずは非常に印象深かった島根半島西端に位置する「日御碕神社」から。
[2回]
この神社を訪れたのは、決して妻から日御碕灯台の近くで売っているイカ焼きが旨いよ、と唆されたからではありません。念のためw
駐車場から鳥居をくぐって敷地内に入ります
桜門をくぐり、境内へ。
境内に入ってすぐに現地案内板がありました。
日御碕神社御由緒
下の本社(日沈の宮)【主祭神】天照大御神
村上天皇天歴二年勅命により現在の地に移し祀る(一千年以前)
上の本社(神の宮)神素戔嗚尊
安寧天皇十三年勅命により現在地に移し祀る(二千五百年以前)
古来両本社を総称して日御碕大神宮と称す
日沈の宮の遠源は、神代の昔素戔嗚尊の御子神天葦根命又(天冬衣命と申す宮司家の遠祖)現社地にほど近い経島に天照大御神の御神託を受け祀り給うと伝えられる。又「日出る所伊勢国五十鈴川の川上に伊勢大神宮えお鎮め祀り、日の本の昼を守り、出雲国日御碕の清江の浜に日沈み宮を建て、日御碕大神宮と称して日本の夜を譲らむ」天平七年乙亥の勅に輝く日の大神の御霊顯が仰がれる如く、古来日御碕は夕日を鎮める霊域とされ、また素戔嗚尊は出雲の国土開発の始めをされた大神と称えられ、日御碕の「隠ヶ丘」は素尊の神魂の鎮まった霊地と崇められた「神の宮」は素尊の神魂の鎮まる日本総本宮として「日沈宮」と共に出雲の国の大霊験所として皇室を始め普く天下の尊崇をうけ現在に至っている。然してその御神徳は天照大御神の「和魂」素戔嗚尊んお「奇魂」の霊威を戴き「国家鎮護」「厄除開運」「交通航海の安全」「良縁・夫婦円満・安産」「家業繁昌」の守護神として御霊験あらたかである。
現在の社殿は、徳川三代将軍家光公の幕命による建立にして西日本では例のない総「権現造」である。両社殿とも内陣の壁画装飾は極彩色で華麗にして荘厳の至りである。
社殿の殆ど、及石造建造物は国家重要文化財である。
例大祭 八月七日
神幸祭(夕日の祭)八月七日夕刻)
(左) 下の本社(日沈の宮)
(右) 上の本社(神の宮)
伊勢神宮と対として、日が沈んだ後の日本の夜を守る神社ですとか。
年の終わりに参るには案外良い場所なのかも。
さて、現地案内板にも書かれているとおり、もともとはこの近くにある経島に祀られたのが始まれとされていますので、そちらには足を運んでおかなくてはなりません。
加えて、イカ焼きと灯台も忘れずにまわっておかないと^^
こちらが、元もとの社地である「経島(ふみしま)」。
島の最も高い位置に鳥居とお社があるのが見えます。
海で数メートル隔てられているだけで、その気になれば直ぐ上陸できそうですが神域であり、現在も禁足地となっています。年に一度宮司のみが立ち入る事が出来、祭祀を執り行う事で知られています。
また、ウミネコの繁殖地としても知られ、国の天然記念物として指定されています。
立ち寄った時はちょうど繁殖の為に渡来している時期で、ウミネコの群れを見る事が出来ました。
右手に視線を移せば日御碕灯台も見えます。
これより徒歩にて向かいます。
道中、忘れずにイカ焼きを買い求めます。
こちらが日御碕の灯台。1903年初点灯。
海抜63m、光達21海里で、灯塔は43.65mと石作りの灯台としては日本一の高さを誇ります。
参観灯台なので見学も可能とのことでしたが、流石に年末であり参観はできないようでした。
附近にあった案内板2種
(左)
出雲日御碕
日御碕は島根半島の西端にあり、古代より日没の地として、日本の夕日を代表する景勝地です。日御碕灯台と日本海が一望できるこの地ならではの景色をご堪能ください。
○日御碕の自然景観
・出雲日御碕灯台 ・日御碕神社
・経島とウミネコ ・出雲松島
・権現島 ・隠ヶ丘
・筆投島
○出雲日御碕灯台
・日御碕灯台は明治36年(1903)4月1日に完成し、地上からの高さは43.65mです。
・明るさは48万カンデラで光到達距離は39kmです。
○日御碕神社
・「出雲風土記」、「延喜式」にも登場する古社
・祭神は日没宮(下の宮)に「天照大神」、神の宮(上の宮)に素戔嗚尊が祀られています
・日御碕神社社殿は、昭和28年に国の重要文化財に指定されています。
(右)
日御碕の地形
日御碕一帯には標高20~36メートル程度のやや平坦な面が広がっています。これは、海岸段丘と呼ばれるもので海面がこの高さまで上昇していた時期があったことを意味し、波による激しい浸食作用で当時の海岸付近につくられた平坦面の名残です。これは約数万年前の出来事です。
現在は、これらが風化した10~15メートル程度の表土におおわれていますが、このあたりのように季節風による波しぶきを受けやすい西側では表土がけずりとられ、その下にある硬い岩盤がやや平坦な面をなして地表に顔を出しています。
附近の様子
灯台のすぐ脇にV字型に切れ込んだ箇所があり、日御碕神社境内にあった地図にはここに「牛落」と書き込みがなされていました。帰宅後調べてみましたが由緒などは不明のまま・・・
昔には何かの祭り(殺牛祭祀?)が行われて、「牛落」というのはその名残かも知れないな、と妄想を膨らませつつ。
そういえば島根は牛鬼の伝承が結構残されている地域であり、加えて海に関する場所の牛鬼伝承もあるしな・・・とは考えたのですが、裏付けるものは何もありません。
どこかで繋がると良いな、と期待をこめつつ、現在は写真を掲載するに留めます。
その後、日御碕一帯を散策することにします。
この地は景勝地としてしられていますので、歌の碑もいくらか見かけることが出来ました。
(右)
<柏陵園>
島根半島の最西端に位置し、柱状節石英角斑岩の上日本海から吹きつける北西の風に耐え倒れるように大きくなった松林一帯柏陵園と呼んでいる。
遊歩道から眺める日本海に沈む夕日は北半球では一番美しいと言われている。夏の夜には漁り火が見られ、また冬には日本海にウミネコの飛び交う姿を観ることが出来る。
北半球で一番とは大きく出ましたね。
しかし、一番かどうかはさておき、美しい場所であったのは間違いありません。
展望台も設けられています。
経島近くまで戻ってきました。
(右)
経島とウミネコ
前方の島は、ウミネコの繁殖地として有名な経島です。大小二つの島からなり、仏教の経文をつみ重ねたような岩の形から経島の名がつけられたといわれています。このあたりには、毎年12月頃約5,000羽のウミネコが渡来し、4~5月にこの島で産卵しヒナをかえします。そして7月頃には北方の海へ向けて飛び去っていきます。この島は、日本海西部における代表的なウミネコの繁殖地として、昭和11年に国の天然記念物に指定されています。
経島は現在でも神域として禁則地となっているのですが、ウミネコの保護地という国の指定もうまく利用しているように思われます。
時間を立つのも忘れて散策し、ちょうど夕方に差し掛かる時間に黒猫が見た光景がこちら。
写真中央が日御碕神社の元々の社地である「経島」です。
ここに太陽信仰が芽生えるのはむべなるかな。
信仰心の薄い黒猫でも畏敬の念を抱かざるをえません。
冬の山陰で夕日を見る事は極稀ですので、大晦日の夕焼けを見る事が出来たのは非常に幸運でした。
日御碕神社
場所:島根県出雲市大社町日御碕455
より大きな地図で 黒猫による島根県妖怪・伝承地地図 を表示
経島
より大きな地図で 黒猫による島根県妖怪・伝承地地図 を表示
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