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蛸坊主-天性寺-

蛸地蔵という一風変わった名前を持つ地蔵をご存知でしょうか?
大阪府岸和田市の天性寺に伝承が残されています。

takojizou01.jpg


この地蔵の名の由来は、「聖地蔵尊縁起絵巻」に記されている物語が元になっています。
それによると、

建武年問、岸和田城に高波が襲いかかり、この時、海の彼方より大蛸に乗った法師が海岸まで近付き波風を鎮められ城下は救われたという。
その後、天正年間に紀州根来衆・雑賀衆の軍勢が岸和田に攻め込んで大乱戦となった。
敵の勢いが物凄く城が危うくなった時、蛸に乗った一人の法師が現れて、次々と敵を薙ぎ倒した。
しかし、敵勢が盛り返して、蛸法師を取り囲もうとした時、海辺より轟音をたてて幾千幾万の蛸の大群が現れ、敵を殺害することなく退却させた。
城主は喜び、その法師を探したが、結局分からなかった。
ある夜、法師が城主の夢枕に立ち、自分は地蔵菩薩の化身であると告げたので、その昔戦乱から守る為、堀に埋め隠し入れた地蔵尊像を出してお祀りした。

wikipedia-天性寺 (岸和田市)-より抜粋


このお話は、岸和田市のHPにも掲載されています。

岸和田のむかし話3 蛸地蔵の話
こちらには「聖地蔵尊縁起絵巻」の一部も掲載されていました。

また、地元の商店街のHPにも紙芝居風の物が載せられていました。

蛸地蔵商店街HP
目次の13-3に「たこじぞう」の紙芝居があります。
また、こちらのトップページには伝承が新聞で取り上げられた時の記事が掲載されています。

ありがたく、かつユニークな由来を持つお地蔵様ですので、平成の現在でも愛されているようですね。
そんな蛸地蔵を祀られている天性寺へ行ってきました。
takojizou01.jpg 天性寺の門。蛸地蔵の名も見えます

takojizou03.jpg takojizou04.jpg
本殿

takojizou06.jpg
件の蛸地蔵ではないですが、本殿右側の地蔵堂に祀られていました。

takojizou05.jpg
願をかける時には、蛸絶ちを行ってするという蛸絵馬。蛸が可愛い^^

残念ながら伝説の蛸地蔵を見ることは叶いませんでした。

何でも現在は、毎年8月23日と24日に行われる地蔵盆の「千日大法会」でのみご開帳されることになっているのだそうです。

おまけで蛸地蔵と無数の蛸が守ったという岸和田城。
kishiwadajyou01.jpg kishiwadajyou02.jpg

kishiwadajyou03.jpg 
岸和田城の案内。現在は比較的こじんまりとしています。

それにしても、津波という言葉に敏感に成らざるを得ない今日、津波からも岸和田を守ったという伝承が残る蛸地蔵の記事を書いていると…
なんとも知れない気分になりますね。

さて、歴史のページを捲ってみますと、伝承では天正年間に紀州根来衆・雑賀衆の軍勢が岸和田に攻め込んで来たときに、蛸坊主と蛸が岸和田城を守ったとされていますので、これは天正十二年(1584年)の岸和田合戦の時の話でしょう。
これは、天正十一年(1583年)豊臣秀吉に、岸和田城を中村一氏の配下に置き、根来衆、雑賀衆、粉河衆などの一揆衆討伐を命じたことから大阪と紀州の間で繰り広げられた一連の戦の中で行われた合戦です。
小競り合いを繰り返していた両勢力は、翌十二年に小牧・長久手の戦いの留守を狙って、根来衆、雑賀衆、粉河衆連合軍は総数3万兵が侵攻し岸和田城に攻城戦を仕掛けてきます。
これに対して城兵8000兵で篭城線が行われたようですが、この合戦を岸和田合戦と呼びます。
しかし、当然のことながら歴史には蛸は出てくる余地は有りません。

しかし、よくよく調べてみれば、当時浄土真宗石山本願寺派の顕如上人が豊臣秀吉に合力していたようです。
顕如といえば、それに少し先立つ石山合戦では雑賀衆なども従え、織田信長に10年も争いを繰り広げた当時の宗教界の大物です。
この岸和田合戦の際には貝塚に拠点を移していたようですし、或いは蛸坊主とは顕如、そして蛸とは顕如に率いられた僧、或いは門徒を暗喩していたのでは…と考えてみたりする次第です。
少し以前に敵対していた勢力が、こんどは味方に…
蛸坊主とも言いますしねぇ…


天性寺
場所:大阪府岸和田市南町43-12

岸和田城
場所:大阪府岸和田市岸城町
公式HP
 

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昨今、文献漁りも行っているが、昔の人の書が達筆すぎて苦心中

 

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