河内長野市は教育委員会が各地に伝わる民話を地域ごとに冊子にまとめて発行しています。
その中でも「河内滝畑の民話」を読んでみると、現在の滝畑ダム周辺に様々な面白い伝承が残されているのがわかり、前々から足を運んでみたかったのですが、先日ようやく願いがかない訪問することが出来ました。
とはいえ時間も限られていたので、まわりたかった所全てをまわれてはいないのですが、いつものように民話の中身と現地の写真でご紹介したいと思います。
まずは淵の主が居ると恐れられていた「赤子淵」から。
「河内滝畑の民話」にはアカゴノフチについて、四篇程の話が記されています。
アカゴブチ
大きな石な、二つこないなってあるとこな、アカゴブチゆうてありますわ。
そやなァ、そやけどあのいわれは何か知らんなァ、アカゴブチちゅうのな。
あれはねェ、あこで赤子泣いとったちゅうんですわ。それな、巡礼さんが通ってな、赤子泣いとるさかい助けようと思うたらな、それがな、その淵の主でな、その巡礼さんが食われたちゅうな。
ほんでな、そこい寄りつくなっちゅうことゆうたってな。
そや、まあな、そこの淵でヌシ(主)が赤子に化けて泣いとったてゆうてんなァ。
あの石のあるとこの名ァ、アカゴブチゆうてなァ。
あこに大きなな、こっくらいの石が二つあって、こう抱き合うとるんですわ。その下に淵があるんですわ。
近頃はもう淵も浅うなったけどもね、もとは深かったわな。
そやな。
あこ、わしゃな、よう魚釣りに行ったんや。
昔はなァー。
ほんまや。
うん、うん、そう、そう。
せやけど、あこの淵な、よう赤子泣くちゅうてな、ゆうたもんやな。
アカゴブチ
昔な、お遍路さんちゅうてな、そこ通ったらな、赤子、えろ泣いててなァ、ほて可愛そうに思てな、見とったんやてェ、えらい下で泣いとると思てな、ほて可愛そうに思うてひらい(拾い)にいったらな、ほたらガタロウやってな、ガタロウに吸われてもうたんやと。そんなこと、昔ばなし聞いたな。
ほないゆうてな、昔、子供んとき聞きましたけどな。
そうかい。
あれ、コンタキミチ(光滝道)って細い道通ったんやろな、お遍路さんがの。
淵の主はガタロウやったんやと。ガタロってどんなんや知らんのやけど。
昔ャ、ガタロウっておったんかのォ。あれ、昔のォ○○○って人かてのォ、あこでの、お前らそんなことしてあっかい、入れっちゅうて、どぼーんと飛び込んでの、そんなり出てこずやったのォ。あれェ、心臓麻痺になったんやてゆうたけどなァ、あれかてガタロウに吸われたゆうてのォ。
他の二つも語り口が異なるだけでよく似た話の内容となっていました。
また、「大阪伝承地誌集成」の中にも「山姥石」の項目の中にほぼ同内容の話が記されていました。
話を総合して考えると、
・赤子淵(アカゴブチ・アカゴノフチ)に主が棲む
・主はガタロウ
・淵の名前の由来は赤子の泣き声が聴こえてきたことから
・昔お遍路さんが食われた
・場所は光滝へ向かう道の近く
・現在は大きな石が二つある。淵は浅くなってしまった。
という所でしょうか?
こういう情報を頭に入れておいた上で、滝畑ダムから光滝寺の方へ向かって車を走らせます。
対向車にひやひやしつつも川の様子を見つつ山中の道を走らせ、今回見たかったのは赤子淵だけでは無かった為光滝寺キャンプ場を越えて蔵王峠の辺りまで行った後、Uターンさせて来た道を戻らせます。
というのもこの道中の道は狭く、停車させているだけでも迷惑がかかる可能性があるのが一点と、もう一つが駐車スペースが随所に用意されていたのですが、いずれも有料(時間ではなく1日1,000円という値段設定)であったため。
どうせ有料なのであれば下の方に駐車して、歩いて上ってくれば良いかな、と思った次第なのです。
そこで滝畑ダムの南側にあった「自然休養村滝畑湖畔観光」にあった駐車場に停めさせていただき、ここで握り飯と飲み物を購入。頬張りながら光滝の方へ改めて向かうこととしました。
ついでに年配の店員さんといくらか世間話をしながら、今回の目的地の「赤子淵」という所を知らないか?と問いかけてみると、幸いなことに場所を伺うことが出来ました。
この車を停めた「自然休養村滝畑湖畔観光」の目と鼻の先の場所であったようです。
そして出発。歩いて5分もかからず目的地に到着しました。
川下側から
川上側から
川上側と川下側からの淵のアップ。
このすぐ上流に砂防の為でしょうか?ダムが作られており、語られているようにずいぶん水深は浅いように見受けられました。
そのダム近辺から対岸に渡って赤子淵のすぐ傍から取ってやろうと意気込んで頑張って見ます・・・
ほぼ対岸まで来た時に・・・
黒猫の片足が水没;;
赤子の泣き声ならぬ黒猫の悲鳴が淵に響きましたとさw
川遊びをする時には、靴ではなくちゃんとビーチサンダルを持ってくるなり、裸足になるなりちょっと考えた方が良いかと思います。
意気消沈した黒猫は対岸に渡るのはあきらめ、片足の靴から水音を響かせつつ光滝寺の方向へ足を向けることにしました;;
赤子淵
場所:大阪府河内長野市滝畑 滝畑ダム南側すぐ
より大きな地図で 大阪近郊妖怪・伝承地図 を表示
Entry//
[3回]
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「河内滝畑の民話」にはアカゴノフチについて、四篇程の話が記されています。
アカゴブチ
大きな石な、二つこないなってあるとこな、アカゴブチゆうてありますわ。
そやなァ、そやけどあのいわれは何か知らんなァ、アカゴブチちゅうのな。
あれはねェ、あこで赤子泣いとったちゅうんですわ。それな、巡礼さんが通ってな、赤子泣いとるさかい助けようと思うたらな、それがな、その淵の主でな、その巡礼さんが食われたちゅうな。
ほんでな、そこい寄りつくなっちゅうことゆうたってな。
そや、まあな、そこの淵でヌシ(主)が赤子に化けて泣いとったてゆうてんなァ。
あの石のあるとこの名ァ、アカゴブチゆうてなァ。
あこに大きなな、こっくらいの石が二つあって、こう抱き合うとるんですわ。その下に淵があるんですわ。
近頃はもう淵も浅うなったけどもね、もとは深かったわな。
そやな。
あこ、わしゃな、よう魚釣りに行ったんや。
昔はなァー。
ほんまや。
うん、うん、そう、そう。
せやけど、あこの淵な、よう赤子泣くちゅうてな、ゆうたもんやな。
アカゴブチ
昔な、お遍路さんちゅうてな、そこ通ったらな、赤子、えろ泣いててなァ、ほて可愛そうに思てな、見とったんやてェ、えらい下で泣いとると思てな、ほて可愛そうに思うてひらい(拾い)にいったらな、ほたらガタロウやってな、ガタロウに吸われてもうたんやと。そんなこと、昔ばなし聞いたな。
ほないゆうてな、昔、子供んとき聞きましたけどな。
そうかい。
あれ、コンタキミチ(光滝道)って細い道通ったんやろな、お遍路さんがの。
淵の主はガタロウやったんやと。ガタロってどんなんや知らんのやけど。
昔ャ、ガタロウっておったんかのォ。あれ、昔のォ○○○って人かてのォ、あこでの、お前らそんなことしてあっかい、入れっちゅうて、どぼーんと飛び込んでの、そんなり出てこずやったのォ。あれェ、心臓麻痺になったんやてゆうたけどなァ、あれかてガタロウに吸われたゆうてのォ。
他の二つも語り口が異なるだけでよく似た話の内容となっていました。
また、「大阪伝承地誌集成」の中にも「山姥石」の項目の中にほぼ同内容の話が記されていました。
話を総合して考えると、
・赤子淵(アカゴブチ・アカゴノフチ)に主が棲む
・主はガタロウ
・淵の名前の由来は赤子の泣き声が聴こえてきたことから
・昔お遍路さんが食われた
・場所は光滝へ向かう道の近く
・現在は大きな石が二つある。淵は浅くなってしまった。
という所でしょうか?
こういう情報を頭に入れておいた上で、滝畑ダムから光滝寺の方へ向かって車を走らせます。
対向車にひやひやしつつも川の様子を見つつ山中の道を走らせ、今回見たかったのは赤子淵だけでは無かった為光滝寺キャンプ場を越えて蔵王峠の辺りまで行った後、Uターンさせて来た道を戻らせます。
というのもこの道中の道は狭く、停車させているだけでも迷惑がかかる可能性があるのが一点と、もう一つが駐車スペースが随所に用意されていたのですが、いずれも有料(時間ではなく1日1,000円という値段設定)であったため。
どうせ有料なのであれば下の方に駐車して、歩いて上ってくれば良いかな、と思った次第なのです。
そこで滝畑ダムの南側にあった「自然休養村滝畑湖畔観光」にあった駐車場に停めさせていただき、ここで握り飯と飲み物を購入。頬張りながら光滝の方へ改めて向かうこととしました。
ついでに年配の店員さんといくらか世間話をしながら、今回の目的地の「赤子淵」という所を知らないか?と問いかけてみると、幸いなことに場所を伺うことが出来ました。
この車を停めた「自然休養村滝畑湖畔観光」の目と鼻の先の場所であったようです。
そして出発。歩いて5分もかからず目的地に到着しました。
川下側から
川上側から
川上側と川下側からの淵のアップ。
このすぐ上流に砂防の為でしょうか?ダムが作られており、語られているようにずいぶん水深は浅いように見受けられました。
そのダム近辺から対岸に渡って赤子淵のすぐ傍から取ってやろうと意気込んで頑張って見ます・・・
ほぼ対岸まで来た時に・・・
黒猫の片足が水没;;
赤子の泣き声ならぬ黒猫の悲鳴が淵に響きましたとさw
川遊びをする時には、靴ではなくちゃんとビーチサンダルを持ってくるなり、裸足になるなりちょっと考えた方が良いかと思います。
意気消沈した黒猫は対岸に渡るのはあきらめ、片足の靴から水音を響かせつつ光滝寺の方向へ足を向けることにしました;;
赤子淵
場所:大阪府河内長野市滝畑 滝畑ダム南側すぐ
より大きな地図で 大阪近郊妖怪・伝承地図 を表示
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