「道祖神」とは、村の入口、境界等にて祀る事により、災いが村に入らないことを祈願する神様です。
地域によって道陸神、賽の神、障の神、幸の神など様々な呼び方があるようです。
大阪でいろいろ訪ね歩いていますが、あまり「道祖神」を祀っているところに行き当たらなかったように思います。
ところが昨日、偶々壊れてしまった妻の眼鏡を新しく作りに東住吉区の矢田に行ったところ、眼鏡屋の直ぐ近くに何かを祀ってあると思われる所があり、興味本位で足を向けると「道祖神」を祀ってある「賽の神社」でした。
[2回]
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帰宅後、早速その地について調べてみると、東住吉区のHPにて奇譚が掲載されていました。
ただ、この神社については「賽の神社」とされている所と、「賽の神神社」とされている所がありました。
このブログにおいては、現地の案内書きに「賽の神社」とされているので、これで記述する事にします。
賽(さい)の神社と「どんど行事」
どうやら「火の神」と自称する石を祀っているようです。
この石の霊力でもって村を守ってもらおうと思ったのでしょう。
それにしても、「道祖神」を祀っている「賽の神社」という名前は「道祖神」に類する複数の呼び名が混在しているように思えて、少し混乱するのは私だけでしょうか?
現地にて説明の紙(右写真)が2枚が張られていました。
(左)
道祖神
集落のはずれや、街道の境に祀られる代表的な民間信仰における神。「道陸神(どうりくじん)」「道禄神(どうろくじん)」とも。
その形象はさまざまで、たとえば山梨県のごく一部の地域にあるような丸石形(一説には山師が祀った鉱物を擂る道具だったともいわれる)のものや石に直接祠(はた)や天狗を刻んだものなどがあるが、もっとも多い形は男女の神か一対となって身体を寄せ合うものだろう。これは性神的、田の神的な豊饒神、夫婦和合の神としての一形態であると考えられる。
いずれにしても道祖神が石神として祀られることは共通している。その根源にもいろいろな説があるが、「古事記」における黄泉国と現世との境を護るとされる「道返しの神、賽坐黄泉戸大神」がそのはじめとされる。
このため、道祖神を「さえのかみ」と訓み(「宇治拾遺物語」)、防災守護の「賽の神」と同神とする説や、天孫を導いた猿田彦命と天鈿女命(あまのうづめのみこと)との夫婦神とするもの、旅神である「手向(たむけ)の神」とするものなど多くの説がある。が、実際にはこれらの神が複合的に習合していったものと考えられる。
こうした道祖神の祭りは毎年旧暦1月14日の夜、小正月の晦日に火祭りとして行われ、身体健全、家運隆盛を祈る。印契は図のように小指をからませ、両手とも大指を中指と無名指でつつみ、頭指の第一・第二関節を折り、その背を密着させる。
(右)
塞の神社
祭神 八衢(ヤチマタ)比古神
八衢(ヤチマタ)比売神
来名戸(クナド)神
この神様は他界より侵入して災厄を、もたらす悪魔等を防ぎ止め、追い返す、ことを掌っています。
呼び名を「さいの神」と申しあげることから「幸神」「妻神」として、幸運をもたらす神様です。
トンド焼き、道祖神、左義長もこの神様の御神徳をいただくお祭りです。
こちらの神社は東住吉区のHPに記されていた話が起源だとすると、もともと「火の神」であったものが祭礼の内容がよく似ているために、境界の神としての属性を期待されるようになったように読み取れます。
あるいは、もともと起源が分からないながら「どんど焼き」の風習があり、後付けで起源となる話が付け加えられたのかもしれません。
この神社では、ご神体である「賽の神の石」は通常祠の中に納められていますが、どんど焼きの際に持ち出して火に掛け、どんど焼きが済めば、その石に晒し布を巻き付け、酒をかけて、元に納める神事が続けられているそうですが、そこが他には無い特徴といえるのでしょうか。
起源がどうあれ、「火の神」という性格の強い「道祖神」であるようです。
どんど焼きはもともとあった民間信仰に、修験道の護摩壇を始めとした後発の宗教が結びついて現在の形に至ったといわれているそうですが、こちらの神社でも修験道の影響が大きかったようで、不動明王もあわせて祀られていました。
手前は私の暇つぶしに同行している息子。
また住吉区HPの民話では、「昔、近くの川を流れてきた石が、ブクブクと泡を吹いていました。」と描写されているように、「火の神」であるにもかかわらず、水の中から現れているからか、巳信仰も残っていたようです。
鳥居脇向かって左手に「白光龍王神社」
「白光龍王神社」の小祠
「白光龍王神社」の手前にあった「黒龍大神」の社
白と黒の二柱の巳様を祀られているとなれば、夫婦なのでしょうか?
「道祖神」は夫婦和合の神としての側面も有名ですが、そういったことも影響しているのかもしれませんね。
賽の神社
場所:大阪市東住吉区矢田6丁目4
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