前回、和歌山の番所山不動堂を紹介しましたので、成田山新勝寺の流れをくむ寺院としては阪神間で最も名高い寝屋川市の成田山不動尊(成田山大阪別院明王院)の紹介を。
阪神地域以外から来た人は、道行く車やバス、電車に成田山のお札が貼られているのが不思議でならないのだそうです。
何故、成田山の交通安全の札がこれほどまでに阪神間でひろまったのか?
これにはこの寺の建立にまつわる京阪電鉄との面白い話があったりします。
[3回]
そもそも寝屋川市を含む京阪沿線(北河内地域)は大阪の鬼門に相当するため、住宅地としては人気がなく他の私鉄沿線のように宅地開発がなかなか進まなかったようです。
そこで京阪電鉄は成田山新勝寺に大阪別院の建立を依頼し、「この地域に鬼は出ない」ことをアピールするとともに、不評だった「香里遊園地」を枚方に移転させ、跡地に当時としては沿線最高級の住宅街を建設する計画を立てました。
ちなみに移転した「香里遊園地」は現在の「ひらかたパーク」にあたり、枚方の地では概ね好評といって差し支えない遊園地に成長しているように見受けられます。
この計画は非常に上手くいったようで昭和9年にこの成田山不動尊が建立。建立を依頼した京阪電鉄は鋼索線を除く全ての客車に成田山の御守を祀るようになりました。鋼索線は石清水八幡宮参拝のための路線であるので例外的に同宮のお札となっているそうです。
これに加えて、終戦後よりとある信者が道中で車が故障しないように祈願を希望されたことから始まり、たくさんの人々から要望を受け、交通安全祈願専用の祈祷殿を設けるに到ったのだとか。
加えてこの一件が日本で一番最初に人車一体で行われた交通安全の祈願なのだとか。
京阪電鉄の車両・バスに貼られていたお札が非常に大きな宣伝効果になったと見るべきでしょうか?
こういった経緯により現在では、阪神間で最も有名な交通安全祈願の寺として認知されているように思います。
駐車場から。
流石に交通安全の祈祷を自負されているだけあって、駐車場のスペースはかなり広いです。何でも300台も収容できるとか。
ちなみに交通安全の祈祷は毎年だいたい20万台も行っているのだそうです。
交通安全の祈祷殿
山門
山門のアップ
山内の地図
こちらが本堂になります。
山門脇にあった寝屋川市の案内。鉢かづき姫がモチーフとなっているようで。
成田山不動尊
交通安全のお不動さんとして人々に親しまれている成田山明王院は、新義真言宗智山派のお寺で、千葉成田市の成田山新勝寺の大阪別院です。昭和九年(1934年)に成田山の御分霊を勧請して建立されました。明王院の名称は、和歌山県の新義真言宗総本山根来寺大伝法院の塔頭明王院をここに移したところからそのように呼ばれています。
このお寺は、五大明王の中尊である不動明王(不動尊)を本尊としてお祀りし、商都大阪の表鬼門(北東)、仏都京都の裏鬼門(南西)にあたる位置に建立されています。現在では、交通安全はもとより、開運厄除・繁栄隆昌などの祈願道場としても広く知られています。
成田山不動尊は、昭和六十一年(1986年)市制施行三十五周年を記念して市民の郷土愛を深めるために制定された「寝屋川八景」に指定されています。
顕彰碑というものがありました。
京阪電気鉄道の方々を始め、成田山不動尊創建に尽力された方々に感謝の意を表した内容となっていました。
本堂裏手に滝行場もありました。
ちなみに成田山不動尊は交通安全の寺院として有名ですが、節分の豆撒きでも有名です。
何故ならその際、「福は内、鬼は外」と言わず「福は内」のみを連呼するからなのです。
成田山には鬼がいないため追い払う必要がないためだとか。
なら何故豆まきするの?と素朴に思ってしまったりするのですが;;
成田山不動尊(成田山大阪別院明王院)
場所:寝屋川市成田西町10番1号
公式HP:
http://www.osaka-naritasan.or.jp/
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