四條畷市から大東市にかけて、「落ちてきた竜」という名前で知られる民話があります。
その伝承地を訪ねてきました。
[5回]
「落ちてきた竜」という話の概要は以下のようなものです。
奈良時代、このあたり一帯を含む広範囲な地域を大干ばつが襲った。
水が全く手に入らず、付近の村人たちが困り果てていたとき、旅の僧がこのあたりに立ち寄り、雨乞いをすることとなった。
僧は山に入って水の枯れた滝壺で経をとなえだした。
すると、満願日の朝、突然雨雲が湧き始め、雨雲の中から一匹の若い竜が姿を現し僧に語りかけた。
「私はまだ修行中の若い竜なので、竜王の許可なく雨を降らせる事はできない。しかしそれでも村人の難儀を救えるのならばと考え、竜王の命に逆らい雨を降らせる事とした。」
竜は雲中へ姿を消し、果たしてたちまち大雨が降り始めた。
村人達は喜んだが、それと同時に竜王の逆鱗に触れ雨を降らせてくれた竜が八つ裂きにされ、その身体が山中のあちこちに落ちてくるのを眼にすることとなった。
雨が上がり、村人たちは落ちてきた竜の身体を捜しに山中へ分け入った。
そして、竜の頭の落ちてきた場所には龍頭寺(後、龍光寺)、竜の腹の落ちてきた場所には龍腹寺(後、龍間寺)、そして竜の尾の落ちてきた場所には龍尾寺を建て、雨を降らせてくれた若い竜を祀ったと伝えられる。
また、この雨乞いを行ったのは、行基だったという。
という話です。
今回は、その行基が雨乞いを行ったという権現滝をご紹介します。
場所はむろいけ園地に程近い山中にあります。
事前の下調べによると、どうやら権現滝のある権現川に沿ってハイキングコースがあるとのこと。
よって駐車場を確保するということもあり、むろいけ園地から権現川ハイキングコースを下ってアプローチする事にしました。
むろいけ園地は、今回初めてやってきました。
室池(むろいけ)は元々江戸時代まで氷室池と呼ばれていました。
この地域は昔から氷室があったとされ、ここで作られた氷は現在の住道近辺まで様々な手段をつかって下ろされ、水路を使用して大阪の都市部へ運ばれていたそうです。
有難い事に駐車場は無料でした。
車を止めてから園内を30分ほど歩き、権現川ハイキングコースに入っていきます。
12月の頭でしたが、紅葉が丁度頃合のようでした。
しかし、駐車場近辺では紅葉の木があったのですが、歩を進めるにしたがって殆ど見られなくなりました。
それにしても、地図で見ればむろいけ園地からの方が明らかに近かったのですが、高低差の事を失念していました。
しかも滝があるということは、それだけ急勾配があるということでもありますので、滝だけを目当てにする場合、四條畷市街地からのアプローチの方が楽だったかもしれません。
とはいえ、山中の落ち葉の上を歩くのは非常に気持ちのよいもの。
道しるべを頼りに、道中の苦労は余り感じず、現地に到着しました。
(左) ハイキングコースから分岐する所にあった鳥居
(右) 更に奥に行って滝の直ぐ手前にあった鳥居
滝の手前には碑も立ち並び、山岳信仰の行場であったことが分かります。
こちらは滝壺近辺の様子。
容易に滝壺へ行ける様になっていました。現在でも滝行されているのでしょう。
写真を撮っていて気がついたのですが、滝の上の方にもどうやら道がある様子。
しかし、来るときには気がつかなかったので、途中にあった分岐を逆方向に行ったところにあるのかな?
道中、滝を横から眺める事の出来る場所がありました。
下から見上げるだけでは分かりませんでしたが、二連の滝になっているようです。
上の滝の方が滝壺らしい滝壺になっていますね。
予想どうり滝肩を道が通っています…というより予想以上の所を道が通っていました。
本当に滝のギリギリの場所を道が通っています…飛び降り台の様に;;
橋の上から滝を覗き込んだ写真です。
このアングルで難なく取れる滝も珍しいかもしれません。
それにしても、上から見下ろすとちょっと怖いです。先程までいた場所も写真に見えます。
ちなみに、この滝の落差は15mだそうです。
見下ろしたりするのは、くれぐれもお気をつけて・・・^^;;
権現滝
場所:大阪府四條畷市南野 むろいけ園地の南西すぐ
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