本格的な仏教寺院としては最古のものとされる四天王寺には七不思議が伝えられています。
こちらでご紹介させていただきます。
[23回]
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そもそも四天王寺とは、崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏の間に起こった戦争で、蘇我氏の軍にいた聖徳太子こと厩戸皇子が、「もしこの戦に勝利したなら、必ずや四天王を安置する寺塔(てら)を建てる」という誓願をし、崇仏派の蘇我氏の勝利に終わったため、聖徳太子により誓願の通り建立されたものです。
さて、四天王寺のパンフレットによると七不思議は以下の七つだと伝えられています。
「西門の石の鳥居は、極楽浄土の東門の中心である 」
「石の鳥居下のぽんぽん石に耳をあてるとあの世の先祖の声が聞こえる」
「五重宝塔一層目の北西角には、正面に大黒天・左に毘沙門天・右に弁財天を彫った瓦があり、どの方角から見てもその顔が見える」
「金堂西の井戸は竜の浮かび出る底なしの井戸である」
「北引導鐘の音はあの世まで響く 」
「左甚五郎作・猫の門の「眠り猫」は元朝に三聲鳴く」
「太子殿前の二股竹は根から二股になっており、いつまでも離れない縁結びの竹としておみくじがよく結びつけられる」
早速、一つづつ回ってみました。
「西門の石の鳥居は、極楽浄土の東門の中心である」
左は四天王寺側から西の鳥居を見たところです。
鳥居をくぐると極楽浄土へと…行けませんでした。
右は鳥居を外から見たものです。
それにしても、寺院に鳥居があるというのも不思議なものです。
「石の鳥居下のぽんぽん石に耳をあてるとあの世の先祖の声が聞こえる」
これがぽんぽん石
石鳥居のすぐ脇にありました。
「五重宝塔一層目の北西角には、正面に大黒天・左に毘沙門天・右に弁財天を彫った瓦があり、どの方角から見てもその顔が見える」
これが四天王寺の五重塔です
その一層目のの北西角
相当に小さなものです。
右はカメラの望遠の限界159.4倍で撮影したもの
どの方角から見てもその顔が見えるとのことですが、すでに風化が激しく普通に見るにも苦労します。
こちらの五重塔、中に入って上まで登ることも出来ます。
中は撮影禁止なので、写真は撮ってないのですが、最上部には仏舎利が収められていました。
「金堂西の井戸は竜の浮かび出る底なしの井戸である」
少し分かりにくいですが竜が浮かび出ています。
この井戸の天井に竜の絵が描かれているのは秘密です。
創建推古元年 五九三年
この井戸は、金堂本尊基壇下にある青龍池を水源としており、東に流れて亀井水に導かれている霊水である。
古来、この井戸は天竺(インド)の無熱池に通じており、この池を守護する青龍が棲むと伝えられている。
この龍の影が映るとされる天井には、龍の絵が描かれ、覗いて水面に湧現される龍に祈れば、たちまちに厄災を除くと信ぜられている。
また怪異・妖怪伝承データベースによると
別の伝承もあるようで、「天王寺の龍が井戸は、昔、太子が仏法の邪魔をする龍を封じ込めたと伝えられている。中ごろ、一舎利上人が龍の姿を見たいと念ずると龍が現われた。眼が潰れたが、一方の眼を手で押さえていたために片目だけですんだ。」だとか。
「北引導鐘の音はあの世まで響く」
黒猫が訪れた時も良い鐘の音が鳴り響いていました。
「左甚五郎作・猫の門の「眠り猫」は元朝に三聲鳴く」
(左) 太子殿の猫の門
(右) これが元旦の朝に鳴くという眠り猫
「太子殿前の二股竹は根から二股になっており、いつまでも離れない縁結びの竹としておみくじがよく結びつけられる」
この二股竹のみ現存していません。
写真は太子殿前のあたりを写したものです。
かつてはこの庭園辺りにあったと思われます。
何とか回り終わった、と言いたい所なのですが、実は四天王寺の七不思議は別の説もあります。
延宝3年の「芦分舟」では以下の通りだと説明されています。
「五重塔の露盤は、黄金一千両で 鋳造されてあるので、永久に色を変えない」
「聖徳太子は四天王寺建立のとき、天竺の霊鷲山(りょうじゅせん)から竜に銀を運ばせて 敷いたので諸堂から雨垂れが落ちても地面がくぼまない」
「樹木は金堂や五重塔より高くならない。それ以上に伸びたら枝は下を向く」
「池のカエルは決して鳴かない。底に十丈の大蛇を祭り込めてあるから」
「西門の石の鳥居は、極楽浄土の東門の中心に当たる」
「南大門の仁王はインド渡来の力士が自分で造ったので威光を恐れてハトやスズメは門の上を飛ばない」
「亀井の水は天竺無熱池の水を竜宮城を経て銀の樋で送られている」
こちらの七不思議も回ってみたいと思います。
「五重塔の露盤は、黄金一千両で 鋳造されてあるので、永久に色を変えない」
露盤とは、仏塔の相輪のいちばん下にある四角い盤のことだそうです。
何とか見えないものかと、頑張ってみたのですが巧く取れるアングルは見つかりませんでした。
「聖徳太子は四天王寺建立のとき、天竺の霊鷲山(りょうじゅせん)から竜に銀を運ばせて 敷いたので諸堂から雨垂れが落ちても地面がくぼまない 」
訪問日は晴れでした。残念。
「樹木は金堂や五重塔より高くならない。それ以上に伸びたら枝は下を向く」
境内にはそんなに大きな木はありませんでした。
「池のカエルは決して鳴かない。底に十丈の大蛇を祭り込めてあるから」
2月にカエルが鳴くとかえってびっくりするかも。
「西門の石の鳥居は、極楽浄土の東門の中心に当たる」
これは上と同じですね。
「南大門の仁王はインド渡来の力士が自分で造ったので威光を恐れてハトやスズメは門の上を飛ばない」
(左) 南大門
(右) 南大門の上にハトが止まっている… 後、写真には取り逃しましたが、しっかり上を飛び越えて行きました。
「亀井の水は天竺無熱池の水を竜宮城を経て銀の樋で送られている」
(左) 亀井がある亀井堂
(右) 亀井
この亀井の水は、「天竺から竜宮城を経て湧いてくるから決してかれることがない」という伝承があるとのこと。
また、龍の井の説明書きを読むのであれば、「金堂本尊基壇下にある青龍池を水源としており、(龍の井を経由して)東に流れて亀井水に導かれている」ことになるのでしょう。
さて、やっと紹介が終わったといいたいところですが、怪異・妖怪伝承データベースの、
こちらのページをご覧下さい。
そう、また別の七不思議があるようです。
これによると、
「龍の井」
「亀の水」
「二股竹」
「梅ケ枝の手水鉢」
「石橋」
「虎の門の猫」
「樋がない」
さて、このうち「龍の井」「亀の水」「二股竹」「虎の門の猫」については、既にご紹介させていただきました。
「梅ケ枝の手水鉢」は黒猫は見つけることが出来ませんでした。
「石橋」はこちらです。
以前は亀井堂東の小溝に架けられていたそうです。
江戸時代には、この形から巻物石、蛙石とも呼ばれていたとか。
この時にこの橋を渡ると安産になると評判だったそうで、七不思議の一つとして伝えられたとの事です。
「桶がない」
確かに樋がありませんでした。ただこれは建築上の工夫などであって七不思議なのかな?とも思います。
ようやくこれで七不思議を紹介できたかと思います。
ただ、黒猫が調べ切れていない七不思議が他にあるかもしれないとも思ってしまいます。
境内にはまだいくつもの不可思議な場所や物がありました。
それらが加わった別の七不思議があっても不思議ではないと思います。
四天王寺
場所:大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
公式ホームページ