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大阪市内に棲む黒猫が、大阪近辺の妖怪や民話の伝わる土地を訪ね歩いた記録です。 ツイッターで更新のお知らせをできるようにしています。 @youkai_kuroneko
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「大阪伝承地誌集成」に以下の記述がありました。
ろうそく好きの狐
池田の商家の番頭が用足しに出て時間がかかり、日が暮れた。
提灯を借りて帰路茶臼山のあたりに来ると、下り坂でいつもはすいすい歩けるはずなのに、右へよろよろ左へよろよろ千鳥足のようになる。
「変やな。わい酒も呑んどらんのに…」
と訝しげに歩いていると、提灯の明かりがふっと暗くなり、ありゃと思うとぱっと明るくなる。
「提灯まで酔っぱらったんかいな。しっかりせえ」
と気合をいれたとたん、石につまづいてごろんと転がり、提灯も消えた。
真っ暗だ。
舌打ちしながら火打石をカチカチやったが、灯はつかない。
つかないはずた、ろうそくがない。
急に恐くなって立ち上がると、すいすい歩ける。
番頭は後もふり返らず走りに走って店に帰った。
わけを聞いた主人は笑い出して、
「お前、そらな、狐にたぶらかされたんや。あっこのお狐はんはろうそくが好物やさかい」
と、番頭の肩をぽんと叩いた。